番外編・今週のオシム母。春日山城跡にて

親類たちと最後にお墓参りをして、別れを告げたあと、私たちは家族四人で、新潟県上越にある、上杉謙信の城・春日山城跡に訪れました。




結局は、まあ、あくまで『跡』なのでね。
山登り的なものですよ。


登るだけ登って、あとは下ってきました。
そう、ただ単純なことだったわけです。




姉はミュール(ヒールのあるおしゃれサンダル?)を履いてきてしまったので下りの山道には遅れをとってしまい、父はさくさく先を進み、数メートル後を母、それから数十メートル空いて、私・姉の順で、山道を下っていました。


土道を下まで降りると、アスファルトで舗装された道が入り口まで続き、
ようやく姉と私もアスファルトの道路へ。


数メートル歩いたところで姉が突然、発狂したように 爆笑。


姉「ひいぃ、えぇ〜?ありえない〜〜(爆笑)」


絶対母ネタだと悟るわたし。
でも母はもうずいぶん遠い位置。


私「なになに、どーしたの??」


姉は腹を抱えて声にならない。


姉「‥‥し・した〜‥‥」


アスファルトの道路を指差す。


んん?


地面に目を落とす私。


うそでしょ?
ありえない。


だってここは新潟で、他には誰も歩いてなくて上杉謙信の元城跡。




何でこの春日山城跡に続く道に、ウチの母の証明写真が??




灰色のアスファルトに、よく映える白のバックに
見慣れたうちの母の顔。
それもちゃんと表向き。


なんなのもーーーーあのひとっ


私と姉には、それも全く気づかずさくさく先を行く母が、可笑しすぎてしょうがなかったのですが、とにかくこのことを父に伝えようと、腹を抱えながら必死で父と母を止める。


姉・私「ちょっとっ‥道に‥こんなのがぁ‥!!」


それでも母、動じず、


母「あれっ?あ、お母さん落としちゃったみたい*
  (てへっ☆って感じで舌を出す母)」


続けて、少し顔を曇らせ、アスファルトでデコボコになった写真をさすりながら


母「あーでもなんか踏まれちゃってるぅ〜
 (チラっ←私と姉に不審の目)」



いやいやいやいや!!!


前方にあった写真に気づいた私たちの前には母しかいなかったんだから、
その写真、あなたしか踏みようがないですから!


自分の顔に踏み絵しちゃう母。
そしてそれに気づかず私と姉を疑っちゃう母。


あんたほど自由な人はいないよ。マリアもびっくりだわ。
自分の信じる道を貫く、自分への信仰心。


あの人はきっと、本当にずっと変わらない‥。
(ちょっとは変わってほしい‥)


そんなことを、春日山城跡にて悟りつつ、新潟の旅は終わったのでした。